食品を扱う企業が温度管理を効率的に行うには、HACCPという衛生管理手法を導入する必要があります。この手法を導入すれば原材料の仕入れから出荷までの全工程において適切な温度管理を行うことができます。HACCPはハサップと呼ばれており、宇宙食の安全性を確保するためアメリカで開発されました。この手法は全工程を細分化してリスク管理を行うだけでなく、加熱や冷却など重要な工程では厳格な基準に基づいて連続的かつ継続的な監視と記録を行います。
全工程において全ての製品を対象とした温度管理が行われるため、細菌やウイルスによる食中毒の被害を防ぐことができます。食中毒を引き起こす細菌にはサルモネラ菌や黄色ブドウ球菌、腸管出血性大腸菌やカンピロバクターなどがあります。一方でノロウイルスやE型肝炎ウイルスなども食中毒の原因になるので注意しなければなりません。細菌は気温が高くなる春から夏にかけて繁殖しやすくなり、ウイルスは気温が低くなる秋から冬にかけて流行します。
前者は条件が揃えば食品中で繁殖するので注意が必要です。後者は食品中で繁殖することはありませんが、調理スタッフの手などに付着すると食品に混入する可能性が存在します。食中毒の原因となる細菌やウイルスは熱に弱いので、適切な温度管理を行っていれば被害を防ぐことができます。ただし細菌の中には黄色ブドウ球菌のような熱に強い毒素を作り出すものも存在します。
HACCPを導入すると温度管理だけでなく総合的なリスク管理が行われるため、熱に強い毒素の混入も防ぐことができます。
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