危害要因によるトラブルを防ぐHACCP

HACCPはハサップやハセップと呼ばれる衛生管理手法で、宇宙食の安全性を確保するためにアメリカで開発されました。この手法には原材料の仕入れから出荷までの全工程を細分化し、危害要因の分析に基づくリスク管理を行うという特徴があります。一部の工程や製品だけでなく全ての工程と製品が管理対象になるので、効果的に不良品の発生と出荷を防げます。この手法は世界中の食品業界で高く評価されており、日本では2021年6月から全ての食品関連企業に導入と運用が義務付けられました。

食中毒の主な原因は細菌やウイルスですが、その他にも化学物質や異物など様々な危害要因が存在します。例えば腸管出血性大腸菌が混入した食品を食べると、12時間から60時間ほどで激しい腹痛や血の混じった下痢などの症状が起きます。症状が重い場合には命に関わることもあるので注意しなければなりません。細菌やウイルスは基本的に熱に弱いため、加熱処理を行えば被害を防ぐことができます。

ただし黄色ブドウ球菌のように熱に強い毒素を作るものもあり加熱処理後に毒素や細菌、ウイルスが混入することもあります。食品の安全を守るためには一部だけでなく全ての工程と製品を適切な方法で管理しなければなりません。HACCPでは様々な危害要因による健康被害を予想した上で、適切な管理方法を定めます。さらに加熱や冷却など健康被害の防止につながる工程が重要管理点とされ、厳格な基準に従い連続的かつ継続的な監視と記録が行われます。

HACCPを導入すれば総合的な衛生管理によって、様々な危害要因によるトラブルを防ぐことができます。

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